10年後にお米を作っているのは誰だ?
この写真は我が家の田んぼがある西郷地区の写真です。向こうに見えるのは小笠山で、判別しにくいですが、その手前に掛川城が見えます。今の季節は田んぼを抜けていく風がとても気持ちがよく、緑の絨毯の中にいるようです。
しかし、現在お米を作っているのは年配者ばかりで、あと10年したらどうなってしまうかとても心配です。
先日知人のHさんとお米について話をしました。Hさんの家は倉真でお米を作っています。今でもハザかけをして天日干しでお米を乾燥させています。量が少ないのであまり知られていませんが、もともと倉真地区のお米はめちゃくちゃおいしいです。(ランクは県内でトップ、御殿場のお米と並んでいます。)それを天日で乾燥させているので味は超一級品です。
そのHさんは61歳、今年は少し体調を崩されたので田植えを息子さんに手伝ってもらいました。しかし、田植えが終わった後に息子さんが言ったのは、「
お米代位のお金は出してあげるから、来年は米作りをやめよう。」でした。
自分はこの息子さんの気持ちがとてもよくわかります。近頃の小学校では総合学習で米作りを行ったりしているので、楽しそうに田植えをしている様子がマスコミに取り上げられたりしていますが、高度経済成長の中で育った自分たち世代の田んぼのイメージは「汚い、気持悪い、かっこ悪い」です。この感覚は農村に行くほど、そして農家の息子ほど強く持っています。小学校の保護者の職業欄に「農業」と書いてあるのが恥ずかしいという感覚を持たされた世代です。
そして今、お米作りはほとんど儲からなくなりました。
「わざわざ、休みの日をつぶして田植えをするなんてめんどくさい。」と思って当然です。
では、この水田で10年後にお米を作っているのは誰か?
実は一番可能性があるのは土建屋さんです。
「農業への企業参入」という名目のもと、公共事業が減った土建屋さんがお米作りに参入してきます。政治もそれをバックアップしようとしています。
既に米作りは機械化が進んでいますので、土建屋さんにとっては所有する重機を使って水田の面積を大きくして、大規模な企業的水田経営が可能です。
これによって、
土建屋さんは農業の救世主として注目されます。農村の風景も守られるし、政治家も助かるし、もしかしたら食料自給率も上がるかもしれません。
でも、Hさん達が受け継いできた「農への思い」は途切れてしまうんでしょうね。
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