沈黙の春
ビニールハウスの中でジャガイモを植ていたら、冬眠中のカエルが出てきました。

自分のハウスは、土を耕すとミミズ、ダンゴ虫、クモ、カエルといろいろな虫たちが出てきます。
時々、明らかに害虫(ヨトウムシ)と思われるサナギが出てきてため息が出ることもあります。
でも、ハウスや温室の土の中に虫たちがいるのは珍しいことです。
普通は同じ作物を作っています。
同じ作物を作っていると、どうしても病気や害虫が発生しやすくなります。
この連作障害を防ぐためには土壌消毒は欠かせません。
結果的に、ハウス内の土壌には微生物すら存在していません。
健全な作物の生育のためには土壌微生物(有用菌)は必要ですので、微生物入りの肥料を投入しています。
農業高校の教員時代に有名なトマト農家で研修をしたことがありますが、土の中にミミズ一匹もいなくてビックリしたことがありました。

レイチェル・カーソンの「沈黙の春」は、環境学習のバイブルです。
この本を読むと、「地球上に沈黙の春が来ないように取り組もう」、「環境を大切にした社会を作ろう」と思うのですが、
実は温室やビニールハウスの中はとっくに「沈黙の春」そのものとなっています。
農業には環境保全機能がありますが、同時に環境破壊の第一人者でもあります。
完熟トマトの温室や、LED照明の野菜温室を、農業の理想形のようにして取り上げるテレビがありますが、鳥の鳴き声はおろか、虫一匹もいない、風もそよがない、あるのは太陽の光と一種類の野菜だけというシーンを、「気持ち悪い!」って何で思わないのかなぁと思います。
コンピュータで管理された植物工場は、病害虫の発生を防止しやすいので、無農薬野菜を作ることも出来るのですが、その野菜は安心して食することが出来る栄養素ではありますが、「生きる力、命をいただく」ことにはならないと思います。
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